日本応用数理学会第3回業績賞 (2013年度)

日本応用数理学会では,2011年度より日本応用数理学会業績賞を創設しました. 本賞は,応用数理の分野において,顕著な業績をあげた研究者,技術者などを表彰し,応用数理の発展をはかることを目的としております. 日本応用数理学会業績賞は,分類A(理論を重点とするもの),分類B(応用を重点とするもの)に分けられています.
第3回の業績賞として以下の方々が受賞されました. 今回は分類Bの受賞者はありませんでした(敬称略,分類ごとに代表者氏名50音順).

分類A. 理論を重点とするもの 1件
[受賞者]
   三村 昌泰 (明治大学大学院先端数理科学研究科・教授, 先端数理科学インスティテュート所長)

[題目]
   「現象数理学の方法論の確立と実践:諸科学との融合研究の促進」

[業績概要]
   三村昌泰氏は,非線形反応拡散系理論を基盤におく非線形・非平衡現象の理論の構築および数理モデリング手法の開発に対して,研究の黎明期から現在に至るまで世界屈指の業績を挙げ続け,多くの研究者に影響を与えながら応用数理の発展に貢献してきた. 非線形反応拡散系理論の成果は,生物学や化学や生態学などの数学とは縁遠いと思われていた分野の現象を数理モデルで理解することを可能にし,実世界の現象の予測や,新素材の開発などに応用されつつある. モデリングの手法は,開拓初期にはともすればアドホックなもの,あるいはその場しのぎのものという性格がないわけではなかったが,三村氏の研究はモデリングが一定の普遍性と原理を持ち得ることを示し,数理的手法の応用範囲を大きく広げることに貢献した. 三村氏はそうした数理モデリングの方法論およびその応用を現象数理学と称し,多くの実例でその有用性を実証してきた. また,既に存在している問題への解決策の提示のみならず,生物学・化学・物理学など様々な分野の研究者との共同研究を通して現象の中に数学的な問題を掘り起し,独自の学際的領域を開拓してきた. こうした三村氏の研究は日本応用数理学会業績賞にふさわしいものである.