日本応用数理学会 第2回 若手優秀講演賞 (2005年度)

日本応用数理学会では,年会の一般講演ならびにオーガナイズドセッションにおいて, 若手研究者(35歳未満)で優れた研究成果を発表した講演者を「若手優秀講演賞」として表彰致しております.
   第二回の受賞者として 2005年度の年会の講演者の中から以下の人が選ばれました(敬称略). なお,表彰式は,2006年4月21日の総会で行われました.

受賞者 受賞講演について
青木 美穂
(東京工業大学)
[講演題目]
   円単数とガウス和を用いたイデアル類群の新しい計算方法について

[講演概要]
   本講演では,整数論の重要な研究対象であるイデアル類群の構造を求めるアルゴリズムを提案した. 従来のものと異なる点は,アーベル体に特有な元(円単数やガウス和)を上手く利用したことにある. イデアル類群をこれらの元で表す際, Stickelberger の定理や F. Thaine によって構成されたイデアル類群のプラスパートの annihilator などの整数論の結果を用いている.
伊東 拓
(筑波大学)
[講演題目]
   陰関数曲面モデルと属性情報関数の同時生成

[講演概要]
   陰関数曲面を用いた 3次元形状再構成問題において, 陰関数曲面に任意の属性情報(色や反射率の情報等)を付加できる方法として, PU(Partition of Unity) と RBF(Radial Basis Functions) に基づく方法がある. 本講演では,同法において,その処理過程で解く必要のある複数の連立一次方程式の係数行列を一致させ, LU 分解を用いることで, ほとんど計算コストを必要とせずに属性情報関数の生成が可能なことを示した.
斎藤 歩
(山形大学)
[講演題目]
   境界要素法における内点公式の精度改善 II

[講演概要]
   境界要素法では,内点公式によって領域内部の任意点で境界値問題の解が計算できる. しかしながら,観測点が境界近傍に位置している場合,解の精度は劣悪となる. 正則化を組み込むことによって,従来,内点公式の精度改善がなされてきた. 本講演では,解の精度劣化を回避するための新たな 3種類の方法を提案し, その性能を評価し,2次元問題だけでなく 3次元問題に対しても, 解の精度を改善するのに有向であることを示した.
佐藤 哲
(国際電気通信基礎技術研究所)
[講演題目]
   相対論的運動のシンプレクティックな数値シミュレーション

[講演概要]
   本講演では,講演者が開発したコンピュータ・グラフィックス描画手法である シンプレクティック・レイトレーシングを利用し, 物体の一般相対論的な運動の数値シミュレーションが可能であることを示した. また,粒子の軌道計算例によりエネルギー保存性が長期間良好であることを示した. さらに,球対称重力場の実装例より, 簡単に自動微分法とシンプレクティック数値積分法によるハミルトン系解析が可能であることを示した.
七澤 洋平
(岡山大学)
[講演題目]
   物的流通におけるトレード・オフ関係の表現

[講演概要]
   企業経営における物流コストの削減とサービス水準の向上には, トレード・オフの関係が存在する. 本講演では,それぞれの問題を表現する目的関数を共通の変数により構成し, トレード・オフの関係の再現を行った. 最適化手法には遺伝的アルゴリズム(GA)を用いた. とくに,距離に依存せずに多様性を制御する GA に, 非支配的ソーティング GA による個体評価を加え,解法の構築を行った.
奈良 高明
(東京大学)
[講演題目]
   MEG による複数電流双極子の直接再構成

[講演概要]
   本講演では,脳内神経活動源を頭部表面磁場データから推定する脳磁図 (Magnetoencephalography: MEG) 逆問題に関して,電流双極子の位置,磁化モーメント,個数を MEG 瞬時データにより直接記述する手法を提案した. この結果,従来困難であった同期して変化する複数ソースの推定も可能となること, および,逆問題において重要な安定性解析が一般化固有値問題の誤差解析に帰着できることを示し, 数値シミュレーションでその妥当性を確認した.