日本応用数理学会 第7回 若手優秀講演賞 (2010年度)

日本応用数理学会では,年会の一般講演ならびにオーガナイズドセッションから若手研究者(当該年4月1日現在で35歳未満)で優れた研究成果を発表した講演者を「若手優秀講演賞」として表彰しております. 2010年度は,以下の方が受賞されました(敬称略,50音順). 表彰式は,2011年4月の総会において行われます.

受賞者 受賞講演について
高澤 兼二郎

(京都大学数理解析研究所)
[講演題目]
   制約付きt-マッチングとジャンプシステム:Cunninghamの予想の証明

[講演概要]
   無向グラフにおいて,枝数k以下の閉路を含まない単純2-マッチングをCk-free 2-マッチングとよぶ. Ck-free 2-マッチングの次数列の集合J(k)は,k≦3ならばジャンプシステムとなる一方,k≧5ならばその限りでない. 本研究では,J(4)がジャンプシステムを成すというCunninghamの予想が正しいことを証明した. さらに,2部グラフにおける重みつきC4-free2-マッチングがジャンプシステム上のM凹関数を導出する必要十分条件を示した.
多田野 寛人

(筑波大学大学院システム情報工学研究科)
[講演題目]
   近似解の精度劣化を回避するBlock積型Krylov部分空間法について

[講演概要]
   複数右辺ベクトルをもつ連立一次方程式に対するBlock Krylov部分空間法には,誤差の影響で近似解の精度劣化が発生する欠点があった. 本講演では近似解の精度劣化を回避し,かつ高収束性をもつ新たなBlock積型Krylov部分空間反復法を提案した. 格子QCD計算に対して本手法を適用し,従来法であるBlock BiCGGR法よりも高い収束性を示し,高精度近似解が得られることを確かめた.
星野 貴弘

(日本大学理工学部)
[講演題目]
   複数入力のある待ち行列モデルの解析

[講演概要]
   単一節点に対し,複数の待合室が並列に設置された待ち行列システムでの客の節点通過に伴う待ち時間に着目した輻輳現象の定式化を行った. その結果,各待合室における平均待ち行列長などのシステムの基本的諸量を陽に導出した. また,待合室全体の平均待ち行列長は,優先順位の割当方式に依存しない事を明らかにすることにより,各待合室の混雑度を相対的に調整する方式を提案し,数値例により提案方式の妥当性と有効性を示した.
三谷 純

(筑波大学大学院システム情報工学研究科)
[講演題目]
   立体折紙のタイリング技法

[講演概要]
   紙を折るだけで意図した立体形状を作ることは容易でないが,軸対称であるという制約の元では,ある程度自由な形を設計可能である. 本稿では,このような立体的な折紙の構造を複数連結したものを,1枚の紙から作る手法を示す. 正多角形による格子パターンの各頂点に立体折紙を配置し,接続構造を形作ることで,同一形状の立体折紙で平面を充填できる. さらに,異なる形の組み合わせ,異なる充填パターンの重ね合わせも可能である.
山中 卓

(東京大学大学院情報理工学系研究科)
[講演題目]
   強度モデルによる信用格付変更履歴データの分析と格付変更強度モデルの選択

[講演概要]
   トップダウン・アプローチに基づく信用リスク評価においては,自己励起性をもつ信用イベント発生強度モデルが用いられてきた. そこでは自己励起性強度モデルとして様々な形のモデルが提案されてきたが,本講演では日本の格付け変更データに対して当てはまりの良いモデルの選択を行い,さらに自己励起性の大きさを説明する要因の分析を行った.