日本応用数理学会 第9回 若手優秀講演賞 (2012年度)

日本応用数理学会では,年会の一般講演ならびにオーガナイズドセッションから若手研究者(当該年4月1日現在で35歳未満)で優れた研究成果を発表した講演者を「若手優秀講演賞」として表彰しております. 2012年度は,以下の方が受賞されました(敬称略,50音順). 表彰式は,2013年5月(予定)の総会において行われます.

受賞者 受賞講演について
石田 祥子
(いしだ さちこ)

(明治大学先端数理科学インスティチュート)
[講演題目]
   折紙造形への数学的アプローチ -等角写像の応用-

[講演概要]
   コンパクトに折り畳むことのできる構造は,ある幾何学的条件を満たすよう設計されなければならない. 流線図と折線図の類似性から等角写像変換に着目すると,変換前後で折線のなす角度を制御できるため,構造の機能性や造形美を維持したまま,これらの幾何学的条件を満たす新たな構造を創成することができる. これにより,既存のシンプルな構造から複雑な折り畳み構造をシステマティックに得るための数学的手法を示した.
今倉 暁
(いまくら あきら)

(筑波大学計算科学研究センター)
[講演題目]
   Extended Krylov部分空間に対する効率的基底生成法

[講演概要]
   近年,Krylov部分空間に代わる新たな部分空間として,行列Aの冪乗とともにA-1の冪乗を利用したExtended Krylov部分空間が提案され,特に行列関数や行列方程式などの解法として注目されている. 本講演では,Extended Krylov部分空間およびその基底生成過程で現れる複数の線形方程式の性質に着目し,2段階の射影法に基づく新しい基底生成法を提案した. また数値実験を通し提案法の有効性を検証した.
佐藤 真
(さとう まこと)

(大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻)
[講演題目]
   脊髄誘発磁場分析におけるDSSによるノイズ除去

[講演概要]
   脊髄誘発磁場分析は,脊髄を伝搬する神経信号によって生じる微細な生体磁場を測定・分析する技術である. 従来,測定された生体磁場のノイズを除去するために,反復測定データの加算平均が行われてきた. 本研究では,DSS空間フィルタによるノイズ除去を試みた. まずMSFの観点からDSSがSN比を向上させる原理について述べた. 次に逆問題解析実験により,従来手法に対するDSSによるノイズ除去の優位性を示した.
谷口 隆晴
(やぐち たかはる)

(神戸大学大学院システム情報学研究科計算科学専攻)
[講演題目]
   ホロノミック系に対するラグランジュ力学的離散勾配法

[講演概要]
   一般に,何らかの良い構造をもった微分方程式に対しては,その構造を保つように数値解法を設計すると,定性的に良い数値解が得られることが多い. このような数値解法は構造保存型数値解法などと呼ばれるが,本研究では,そのような数値解法のうち,近年開発されたラグランジュ力学に基づくエネルギー保存型数値解法について,時間依存しないホロノーム拘束を持つ系へ拡張した.