日本応用数理学会第2回業績賞 (2012年度)

日本応用数理学会では,2011年度より日本応用数理学会業績賞を創設しました. 本賞は,応用数理の分野において,顕著な業績をあげた研究者,技術者などを表彰し,応用数理の発展をはかることを目的としております. 日本応用数理学会業績賞は,分類A(理論を重点とするもの),分類B(応用を重点とするもの)に分けられています.
第2回の業績賞として以下の方々が受賞されました. 今回は分類Bの受賞者はありませんでした(敬称略,分類ごとに代表者氏名50音順).

分類A. 理論を重点とするもの 2件
[受賞者]
   菊地 文雄(一橋大学)

[題目]
   「有限要素法の基礎理論と実用化の研究」

[業績概要]
   受賞者は,連続体力学に対する有限要素法の数学的基礎理論の確立とその実用計算への応用において顕著な業績を挙げた.工学に現れる現実的な問題に関数空間など数学的抽象理論を用いて解析し,斬新な優れた実用的数値計算法を導いた.特に,平面応力問題等の混合型有限要素近似において,適切な有限要素空間の組の選択に関する研究は,今日,下限上限条件として整理された研究の先駆けをなすものである.また,電磁場問題を数値計算向きに定式化し,辺要素を用いる混合型有限要素近似と離散コンパクト性の概念を導入して数値解の収束性を示すことに成功し,この分野の数値計算の正当性と実用性に道を開いた.
[受賞者]
   薩摩 順吉(青山学院大学), 高橋 大輔(早稲田大学), 時弘 哲治(東京大学), 松木平 淳太(龍谷大学) 以上4名

[題目]
   「超離散化理論の構築とその展開」

[業績概要]
   受賞者らは,独立従属変数ともに離散化された力学系(セルオートマトン)と,微分方程式または差分方程式,の2つを結びつける「超離散化」と呼ばれる画期的な手法を確立した.超離散化は可積分系分野における主要なソリトン方程式に適用され,各種ソリトン方程式の解や保存量がその性質を保ったままデジタル化可能であることが次々と解明された.受賞者らによって構築された超離散化理論は,可積分系分野にとどまらず,交通渋滞などの工学の諸分野,整数論の未解決問題であるリーマン予想や幾何学の分野で急速に発展しているトロピカル幾何学など数学の諸分野との関連や応用が指摘され,今なお発展し続けている.